トキのカブクワ飼育記録

こんにちはトキです

今回は南カリマンタン産カナリクラトゥスホソアカ原名亜種のお話



カナリクラトゥスホソアカの原名は主にマレーシア、インドネシアに生息しています

基本的にはスマトラ島産のものが主に出回っているのが現状です

特徴としては大顎先端付近の内歯がヘラ状になること

他はあまりジャワ島産と変わらない印象です

ちなみに時々勘違いしている方がいるため補足しますが、インドネシア領の南カリマンタン産はボルネオ亜種(consanguineus)ではなく原名亜種になります

ボルネオ亜種特有の先端内歯手前に膨らみが出ないため少なくともボルネオ亜種ではありません

じゃあ西カリマンタンに生息するramliiかと言われると上翅の筋が明瞭では無いためこちらも違和感があります

ただ、マレーシアやスマトラの原名に比べて顎が伸びず圧倒的に大きくなり辛いので、将来的に別亜種になる可能性はあるかもしれません




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学名:Cyclommathus canaliculatus canaliculatus
和名:カナリクラトゥスホソアカ原名亜種
産地:インドネシア 南カリマンタン Mt.besar
サイズ:♂37mm ♀19mm
累代:WILD


2024年1月にアリストさんから購入

雌雄共に完品で状態も良く届きました

個人的にカナリクラトゥスはキクロの中で1番好きなので全亜種揃えてもいいと思ってます

あまり人気が無いので出回らないしWILDがなかなか入って来ないこともありますが……

南カリマンタン産はスマトラ、ジャワに続いて入って来やすいですかね?

ボルネオのは去年今年とチラホラ来ましたがそれまでは全然出回ってない印象です

西カリマンタンのramliiはいつか入ってくるのでしょうか……

もう国内では絶えてしまっていると思います

入れても捌けないから来なくなったのかもしれませんが、最近のキクロ高騰を見るとタランドゥスホソアカでもそれなりに値がつきそうなので入れてほしいですね





②産卵セット(2024/1/24)

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君嶋きのこ園さんの極柔クヌギ材にミカクワさんの1次発酵マットを固詰めしたセット

我が家で組む際のキクロスタンダードセットです

マットが普段使わないものになっていますが、同時期にミカクワさんで北部ボルネオ亜種の♀単を購入した際に購入したマットです

ちなみに種無しだったようでそちらは失敗しました

恐らく標高が高過ぎて本来はカナリクラトゥスが採れない所に迷い込んだやつだったのだと思われます





③割り出し(2024/5/15)

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だいぶ放置しすぎた感はありますがこのタイミングで8頭を割り出しました

やはりカナリクラトゥスはなかなか数が採れませんね

産まないことはないのですが二桁いけば良い方という印象です

なかなか人気が出ないのはこの辺りも要因の一つなのではないでしょうか……





④羽化


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2024/2〜3     孵化
2024/5/15     3齢    800cc   クワ貧カワラマット
2024/10/18   羽化  42mm





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2024/2〜3     孵化
2024/5/15     2齢 800cc クワ貧カワラマット
2024/10/XX  羽化 21mm





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2024/2〜3 孵化
2024/5/15 2齢 800cc 生オガ発酵マット
2024/9/25 羽化 47mm




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2024/2〜3 孵化
2024/5/15 2齢 1400cc クワ貧カワラマット
2024/XX/XX 羽化 20mm




2024年9〜10月にかけて全て羽化しました

後半のペアはペアリングして現在産卵セット中です

南カリマンタン産としてはオスは大きめかもしれません

1400cc1本返しで勝負に出た2匹がどちらもメスで撃沈しました(笑)

なかなか上手くいきませんがそれもクワガタ飼育の醍醐味ということで

自力ハッチを待とうと思って掘り返していない1ペアがいますが他は全て活動済みです

カナリクラトゥスって掘り返さないと8ヶ月とか寝るんですね……

死んでるんじゃないかとたまに見ても蛹室内で動くので単純に活動していないだけみたいです

厳密に言えばニアスやボルネオのカナリはメスであれば2,3ヶ月で自力ハッチしてきたので、南カリマンタンが特殊な可能性は否めません

その辺は次世代でも何頭か自力ハッチを待ってどうなるか確かめたいと思います




ということで、以上が南カリマンタン産のカナリクラトゥスホソアカ原名亜種でした

原名亜種としては大きくならないし、そもそもカナリクラトゥス自体が不人気だしで何かと不憫なやつですがそこが憎めないところです

今後の分類にも興味がありますし続けられるだけ続けていきたいですね

分類が変わったら速攻でレコード申請しましょう(笑)

それは冗談として、少しでもカナリクラトゥスの魅力だったり見分け方だったりが伝えられれば良いかなと思います

興味を持つ人が増えれば誤同定なんかも防げますからね
(ヴァンローニ名義のカナリクラトゥス♀単を高額で購入してた方は元気にしているでしょうか……)



それでは今回はこの辺で〜



こんにちはトキです

今回はタイのビタリスフタマタのお話


まずはじめに……






『現在出回っているタイ ターク県 プア郡産のビタリスフタマタは亜種cottoni(タイ北部亜種)ではありません』






少なくともむし社(BE-KUWA)基準では違うことが確定しています

実際に1サイクル回した個体を複数ラインむし社に送って確認してもらいましたが、原名亜種という同定結果が返ってきました
(むし社が100%信頼できるかというのはまた別の話としてありますが)

いつもなら送った虫はすぐに返ってくるところ、1週間も帰ってこなかったので結構きちんと同定作業をしていただいたようでした

私も原名亜種としか思っていなかったので納得の結果です

ではなぜヤフオク等でcottoniとして出回ってしまっているのか

ラベルしか見てないといえばその通りなのですが、そもそも皆そこまでビタリスに興味無いからなんですよね

それなのに稀少とか貴重とか変な売り文句を付けてしまうために、売り文句に釣られた同定できない落札者が後を絶たないという悲しい状況です

あとは大きい個体を見たことがあるのがWILD販売元と私しかいないからというのも大きいかと

入荷した中でまともなサイズのオスは75mmの1匹のみだったのですが、それはHPに画像が上がる前に私が購入しました

そして現在に至るまで大型といえるオスは販売等されておらず、そもそも存在しない可能性すらあります

まぁ小型でも原名とcottoniの判別は容易なので、小型だから判別できなかったという逃げ文句は通用しませんが……


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この画像、ベトナム(原名)とタイ(cottoni偽)なのですがどっちがどっちか見分けることができますか?

私にはできませんでした

後から見返して「コレどっちがどっちだ……」って本当になりました

この2個体に"明確な差"はありません

BE-KUWAや大図鑑を見てもタイ産でこのような個体は存在しません

当たり前ですが例えタイに存在したとしてもこの形ならば原名亜種になると思います

(ちなみに答えは左がタイ、右がベトナムです)




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WF1♂80mmです

本来のcottoniはビタリスの中で1番顎が短く、そのせいで1番小さい亜種になります

80mm超えるのは結構難しいというのは想像に難くないのですが、私の雑な飼育で80mm出ているのがもうダメです

育ち方から形までベトナムの原名と殆ど一緒でした

厳しい言い方をするとこれがcottoniに見えるなら、フタマタ好きを名乗るのは控えた方がいいと思います

そういうレベルの話です

累代してもしょうがないので〆ました

まぁまだ幼虫がいるのでペアで羽化してくる可能性も0ではありませんが……



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こちらはチェンマイ県ファーン郡のcottoni(左)とベトナムの原名(右)です


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顎がわかりやすいように前から撮ったものです

全然違いますよね?

cottoniは太短く、最大内歯がより先端寄りに出ます

大図鑑の87mmは中間寄りに最大内歯が出ていますが、cottoniであそこまでの大型がそもそもイレギュラー的存在だと思うので理解できなくはないです

というかアレ最大値じゃないですかね?

飼育でもあのレベルは出せないのでは?と思うくらい大きいです




ということでタイ産のビタリスフタマタのお話でした

ビタリスをちゃんと見たことがある人であれば納得していただけるのではないかと思います

ちなみに2〜3月にかけてヤフオクにて2024年採集のチェンマイ県産の標本が販売されていましたが、こちらも原名亜種の形をしていました

タイ人が悪さをしているのか、別のところから悪さをしている人がいるのかは定かではありませんが、ラベルが信用できなくなりつつあります

最近よく言われていることですが

ラベルではなく虫を見ろ!

本当にこれに尽きます

自分で完結させるならまだ良いのですが、販売したりする方は本当に気をつけてください

それでは今回はこの辺で!



こんにちはトキです

今回はブルイジンノコギリ亜種ruflusのお話



ブルイジンノコギリといえばインドネシア便でお馴染みなので一度は聞いたことがあるという人も多いかと思います

逆に言うとそれでもマイナー種というか、そこまで人気のある種類ではないので知らないという方もいるでしょう

よく入荷するのはペレン島産のpelengensisですが、今回のruflusというのはスラウェシ島に生息する亜種でペレン島産に比べて入荷が少ないです

時点で原名亜種、近年全く入荷の無いスラヤール亜種(bomansi)、入荷したことがない?タフランダン亜種(tahulandangensis)の順になるかと思います

スラヤールまでは国内でも流通があるのでその気になれば入手が可能ですがタフランダン亜種に関しては入ってきたことが無いかあったとしても国内では途絶えているかと……

あとはタリアブ島のssp.ですね

明らかに現在記載されている他亜種とは違う様相をしているので、亜種分けされるのではと思いますが現状はまだ新しく記載されていません


ノコギリで言うとドルサリスがペレン島とタリアブ島に亜種hiromiiが生息していますが、ブルイジンは同じ亜種では無さそうなのが面白いですね

一応ドルサリスはタリアブ島産の方が大きくなりやすい傾向があるようなので全く同じではないかもしれませんがなかなか興味深いです




①親入手

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学名:Prosopocoilus bruijni ruflus
和名:ブルイジンノコギリ亜種ruflus
産地:スラウェシ島 パロロ パル
サイズ:♂♀フリー
累代:WF1



動き回ってまともな画像が撮れなかったのでこんなものしかありませんでした(汗)

ruflusの読み方がわからず、和名にも学名そのまま表記しています

ルフラスかルフルスだと思うのですがどちらでしょう?
(どちらでもなかったらすみません)


2023年12月にUltimate Mika KABU KUWAさんにて購入

珍しくWILD以外を購入しました

購入したというか押し売りにあったというか……(笑)

ボルネオ便が入ったのでエロンガトゥスを購入しに行ったのですが、たくさん増えて困ってるので買いませんかと店長さんに激しく勧められました

ミカクワさんは当初不明ノコギリとして店で累代したとのこと

メスを見てもらうとわかるのですが、上翅の結合部に黒いラインが太めに入っています

実はBE-KUWA79号の世界のノコギリ大特集ではスラウェシ亜種のメスにこの黒いラインがありません

個体差なのか別亜種のメスが載っているのか真偽は不明ですがBE-KUWAを同定に用いるとスラウェシ亜種は当てはまらないことになります

韓国の方が作成、発売した図鑑のLUCANIDAE OF THE WORLDにてようやく黒いラインの入ったメスが図示されたためスラウェシ亜種として同定できたとのことでした

インドネシア便は島単位で取り違えが起きる混沌とした状況なので安易に判断できないんですよね

店でブリードしたのは英断だったと思います



ということで沢山いる且つ産卵セットで羽化して小さいということでとても安価で購入できました

せっかくならレコード目指して飼育してみようということでブリードを開始



 


②産卵セット(2023/12/17)

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マットだけでも十分産む(爆産注意)とのことだったので、グリードSL使用後のデジケース?ミニにMDプロEXプレミアムを固詰めしたセットにしました

温度はいつも通り20℃前後です

当初は何も見えませんでしたがしばらくしたら卵が見えたので幼虫で割り出すため暫し放置

このサイズ感の卵や初令幼虫を取り零さず回収するのはかなり難しいですからね……




③割り出し(2024/5/15)

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もはや総数すら確認できませんが二桁いくかいかないかくらいの3齢幼虫が得られました

ミニケースでコレですから小ケースなんて使った日にはそれはもうたくさん採れるでしょうね(笑)

レコードを狙うと言いつつ3齢割り出しなのはご愛嬌

500ccや800ccボトルにそれぞれ投入しました

マットはMDプロEXプレミアムと生オガ発酵マットで、オスと判定できたものはどちらのどの容量にも入れたと思います

こちらも温度は20℃前後

と、思いましたが下の方に置いていたので意外と18℃くらいまで下がっていたかもしれません

20℃一括管理にしていますが上の方やあまり温度がブレないところ以外は18℃くらいになるようにしているのでちょっと低めで見ておきましょう

特に成長不良等はなってなさそうでした



④羽化

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2024/5/15  ♂3齢  800cc  生オガ発酵マット
2024/9/XX  羽化42mm



残念ながら全ての個体を撮影はできていないので最大個体のみのご紹介です

最大と言っても同じ42mmが2頭いて、MDプロEXプレミアムで育てた方も同サイズでした

ただし、500ccに入れた個体はいずれも40mmに届かずだったため例え3齢割り出しで幼虫期間が短いといっても小さい容器にしてはいけないかもしれません

逆に言うと割り出すのが遅かったためあまり大きくはならないかと思いきやそこそこサイズにはなってくれました

レコード44.7mmも夢では無さそうに思います

このサイズ感のクワガタであれば800cc1本返しが基本になると思いますが、3齢からでも容器サイズで明確に差が出たことから早め交換の2本返しも試してみたいですね



さて、既に次世代をスタートしていますが上記個体は使用していません

というのも2024年10月頃からアリストさんがWILDを仕入れていたので購入しメスは持ち腹、オスはWF2のメスと掛け合わせてCBにしました

小型ノコギリでWF3以降のインブリードはちょっとサイズ狙いには不利かなと思った次第です

血の入れ替えをできるうちにしておいてサイズを狙いつつ長く楽しめればなと思います

ちなみにWILD持ち腹の方は組んで直ぐに複数卵が見えて、孵化も確認できているのでいるので問題無さそうです

CBは当初メスが動き回っている気配があって暫く卵が見えてこなかったのですが、ここ1〜2週間で一気に卵が見え始めたので後は孵化を祈るばかりです

なんとか繋がってほしいですね



記載し忘れていましたが休眠期間は2〜3ヶ月くらいであまりブレることは無さそうです

小型ノコギリに似合わず結構生きるので比較丈夫かも?

良く生き、良く増え、良く育つ、初心者にも優しくてツートンカラーが綺麗で良い虫です

もし機会があればどの亜種でもいいので一度ブルイジンノコギリを手に取られてはいかがでしょうか?



それでは今回はこの辺で!


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