トキのカブクワ飼育記録

2022年05月

こんにちはトキです

今回はシネンシス原名亜種のお話



もはや1年近く前のことなのでだいぶ忘れていましたがファベールノコギリを購入して以降、WILDの取り扱いが多いPLANET OF BEETLEさんの動向に興味があって良くHPを見てました

確か購入特典で15%割引クーポンを貰ったのも一因だったと思います

2021年6月上旬、PLANET OF BEETLEさんから中国便入荷の通知が来ました

結構な種類が入荷されましたが聞き慣れない名前が……

調べてみるとなかなか面白いことが書かれていたので思い切ってセメノウと共に購入しました

それがシネンシス原名亜種です


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学名:Dorcus sinensis sinensis
和名:チュウゴクコクワガタ(シネンシス原名)
産地:中国 雲南省 維西リス族自治県
サイズ:♂41mm ♀30mm
累代:WILD(灯火採集)


画像は9月10日に撮影したものですが、メスは画像がありませんでした(ナンテコッタ…)

特徴がわかるなかなか良い画像ではないかと

二葉内歯の幅は狭く、胸部肩口の切れ込みは狭くも広くもない、そして全体的に赤く色付いている

ザ・シネンシス原名という感じのフォルムです

メスも赤かったのでシネンシス原名で間違いないでしょう

ということで早速産卵セットを組みました

が、まさかの産卵セットの画像がありませんでした(汗)

カワラ材だったかニクウスバ材で組んだのは覚えています

まぁこの1セット目は記録を残してもあまり意味のないものだったのでいいのですが……

何があったのかというと全部無精卵でした

良い感じに削っていたので幼虫で割り出そうとそれなりの期間を置き、満を持して割り出したものの黒くなったりした卵の痕跡しかありませんでした

メスの持ち腹に期待して追い掛けせずにセットしましたが未交尾だったようです

この時はあまり気にしていませんでしたが、カワノイシカの記事を見ていただいた方はなんとなく原因が想像できると思います


一旦その話は後にして、雌雄を同居させたところすんなり交尾をしてメイトガードも確認できました

今度こそということで習くわさんのニクウスバ材で再セットを作成

こちらも産卵セットを作成した時の画像は残っていませんでした


セットから2〜3ヶ月ほど放置していましたがメスを抜いていませんでした

ふと産卵セットを覗いたところ、メスが新たに材を削っているのを発見

嫌な予感がしたのでメスを探すと隣に星になったばかりの幼虫がいました

子食いというやつですね……

いい加減割り出さないといけない時期だったこともあったので1月29日に割り出しを実施


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材はこんな感じで削り痕や食痕でだいぶ中身がなくなってきていました

本来ならもっと早く割り出した方が良いかもしれませんが弱齢幼虫を探すのも楽ではないのでできるだけ長く放置したい派です


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材を割っていくと初齢幼虫が出てきました

正確な数を覚えていませんが、材からはこの1頭しか得られなかったと思います

材にいなかったのでマットの方に移動したのだと思ってマットをひっくり返すと


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見えている6頭の幼虫が得られました

このセットで合計7頭の回収に成功です

ちなみにメスはオスと同居させて再セットしようと考えていましたが、数日後に落ちてしまいました

なので7頭という少数精鋭で累代に挑むことに……

ホビー倶楽部さんのブナオオヒラタケ既成800ccに投入しました

1頭は馴染めなかったようで早々に星になってしまったため残り6頭

判別間違いが無ければ比率は♂4♀2となっているのでなんとかメスには無事羽化までは行ってもらいたいです

ちなみに親メスは割り出し後にオスと再度同居させていましたがすぐに星になってしまったため追加はできません



と、ここまではそこそこ前まで書いていた部分ですがここから先は5月下旬に書いた内容です


菌糸投入から3ヶ月以上経ち、それなりに食い上げていたり暴れ始めている個体もいたので5/21に菌糸交換を行いました


♂6g

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♂?4g

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♀4g

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今回交換したのは上の3頭

6gのオスはそれなりに見れるサイズになるのではと期待しています

シネンシスの還元率がわからないのでなんともですが親は超えてほしいところ

2,3頭目は雌雄がどちらか間違っているかも……

オス判定が間違っているならいいですがメス判定が間違っていたらいよいよ崖っぷちですね

もう1頭のメスは蛹室かも?みたいな空間にいたので交換を見送ったのですがどうやら違ったようなので近々交換予定です

他2頭のオスのうち1頭は最初に食痕が見えていたものの、それ以来動きがなかったので不安視していましたがやはり落ちていました

見た感じでは脱皮に失敗したか、脱皮している間に周りの菌糸が再生して食えなくなったのかなぁという雰囲気でした

もう1頭は唯一習くわさんのエノキオオヒラタケに入れた個体なのですが4月30日にアロー原名と一緒に交換したところ、明らかに成長不良で2gしか無かったので他の幼虫たちと同じ菌糸に入れました

蛹室のような空間を作って動かなくなったのでもしかすると蛹化するかもしれません

蛹室にしては小さい気もするのでそのまま落ちてしまう可能性が……

無事に羽化まで行ってくれることを祈ります



ここまでシネンシス原名亜種の紹介〜幼虫飼育でした

確実に生存しているのが♂2♀2で更に心許ない状態に

もともと採れていた幼虫が少なかったため、今年もシネンシス原名の入荷があったら購入しようかなとなんとなく考えていました

4月27日にPLANET OF BEETLEさんからシネンシス原名の入荷通知が!

早速注文しましたが入荷個体の画像を見てちょっと思うところがありました

違和感というか見た瞬間に、ん?と

それを確認するための購入でもあったわけです

今回購入個体の画像の前に最初に載せたオスの正面からの画像をご覧ください


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2月上旬に撮影したものです

ピントが合っていませんが1枚目より特徴がわかりやすいと思います



そしてこちらが今回購入した個体


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・・・・・・・うん、まぁ

気を取り直してメスも見てみましょう


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・・・・・・・・・・・・ん?

光量が足りないのでわかりづらいですが真っ黒ですね

ついでに言うとオスも上翅がほんのり赤いだけで前胸より上は真っ黒です

シネンシス原名なのに真っ黒……妙だな?(名探偵感)

まぁこれが購入した理由の1つです

ちなみに詳細は下記の通り


学名::Dorcus sinensis sinensis
和名:チュウゴクコクワガタ(シネンシス原名)
産地:中国 雲南省 維西リス族自治県
サイズ:♂42mm ♀31mm
累代:4月材割採集


1枚目をA、2枚目をBとしてオスの比較ですが、まぁ最大の違いは赤さですね

とはいえ個体差もあるのでここは参考程度でいいです

個人的に違和感を覚えるのは二葉内歯の幅及び太さと前胸の形

1mm違いでBの方が大きいですが二葉内歯の開き方が結構違います

Aはそれなりに開きがあるのに対してBはあまり開いていません

また、内歯根本の太さも違いますね

Bは怒江亜種やセメノウに近い内歯の形だと思います(怒江亜種はもうちょっと開くかも?)

前胸についてはAが台形のような形をしているのに対してBは下側が丸くなっています

パッと見でも結構違和感がある部分ですね

肩口の抉れについては幅や抉れの深さにそこまで大きな違いがあるようには見えませんが有識者が見ると違和感を覚える部分があるかもしれません


ここまでオスを比較してきましたが結構違いがあるのがわかるかと思います

ではなぜこんなに違いがあるのか

ここからは私の個人的な考察です

まず産地の維西リス族自治県ですが、デチェン・チベット族自治州にあります

これは雲南省の最北端に位置しています

そのデチェン・チベット族自治州の南東部にあるのが維西リス族自治県です

この維西リス族自治県は怒江リス族自治州と接する地域でもあります

1番接している範囲が広いのは福貢県ですが貢山トールン族ヌー族自治県とも接しています

産地でよく記載されている貢山産というのはここになりますね

ということはですよ、シネンシスssp.(怒江亜種)が生息している貢山と隣り合わせなんです

実際はその中のどこで採集されているのかはわかりませんが、自然下で混ざっても不思議では無いのでは?と勝手に思っています

それか怒江亜種でも原名亜種でも無い別の何かの可能性もあるかと

2019年にPLANET OF BEETLEさんに入荷した怒江亜種で上翅が赤い個体がいたようですがそれがこのBに近いタイプかもしれません

怒江亜種も真っ黒が基本なハズなので


怒江の話をしましたが反対側には麗江市が存在しています

ご存知の方も多いと思いますが麗江市にはコンコロール亜種が生息しています

麗江市以降の産地が記載されていないのでどこで採集されているのかは不明ですが玉竜ナシ族自治県という所が維西リス族自治県と接している所です

また、他にもコンコロールの生息地の1つとされている香格里拉市(シャングリラ)も狭い範囲ではありますが隣接しています

そもそもBE-KUWAでもコンコロールは維西リス族自治県亜種と紹介されています

維西リス族自治県にコンコロールが生息しているのであれば果たしてどこで棲み分けられているのでしょう?

隣り合わせの県または同じ県だった場合は混生、自然下で交雑も有り得るのではないでしょうか

さすがに今回のB個体は内歯の形状、前胸肩口の幅や抉れ方がコンコロールに似ても似つかないのでそちらとの混ざり物の可能性は無いと思いますが……


ここまでつらつらと個人の見解を書きました

全く的外れなことを書いている可能性もあるので参考程度に見ていただきたいのですが一考の余地くらいはあるのかなと

オスの比較をしましたが、メスに関してはAの画像が無いので比較はできませんしそもそも色以外で(私が)判別できると思っていません

ただ、SNS等を見ても購入した方は総じてメスが真っ黒という話をしていたので個体差の可能性は低いと思います

モーレンカンプコクワのように同じメスから黒や褐色が産まれるなら同所から採集した個体も赤混じりがいると思うので

こればかりは次世代を羽化させてみないとわかりませんが、次世代でもオスの赤みが弱くメスが真っ黒の個体しか出てこないのであればシネンシス原名の地域変異あるいは別種の可能性を疑いたいです



以上、かなり長くなってしまいましたがシネンシス原名亜種のお話でした

生息地のところでは図示して説明できればよかったのですが引用の仕方がイマイチわからなかったのですいません

シネンシス系は分類や特徴が難しすぎるので産地はもちろん、実物でも図鑑でも良いので沢山の個体を見て特徴を把握するのが1番だと思います

良くわからないからヤフオクの怪しい個人輸入品を真に受けて購入して次世代を販売する、なんてことは無いようにしましょう(四川省涼山産のシネンシスssp名義とか)

ショップでシネンシス系の取り扱いが1番多いPLANET OF BEETLEさんからの購入ですら上記のようななんとも言えない個体が届くので

別にPOBさんを貶しているわけではありませんよ?

それだけシネンシス系は不透明な部分が多いということです

またつらつら書いていくと長くなりそうなので終わりにします(笑)

だいぶ長くなってしまったので誤字脱字はご容赦を

それでは今回はこの辺で!



こんにちはトキです

今回はケルブスミヤマのお話


ケルブスミヤマの紹介記事を見ていただいた方からするとどっちのケルブスだよ!となるかもしれませんがKUWATA横浜でMGMさんより購入したハンガリー産の方です

冬の間は20℃前後で管理していました

20℃前後と言ってもほぼ20℃以下だったので19℃前後の方が正しいかもしれません

あとは乾燥しているようであれば生存確認を兼ねて適宜霧吹きをするのみ

メスが3月上旬に後食開始、オスが3月中旬に後食を開始

6月羽化なので9ヶ月ほどの休眠でした

ハンガリーは日本のように結構ハッキリとした四季があるようなのでハンガリー産の虫は休眠期間等が合わせやすいかもしれないですね

後食は開始したものの動きが割りとノロノロだったのでしばらく様子を見ていました

4月も中頃になるとそれなりにしっかり動くようになったのでブリード開始です

4月20日から同居を開始


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無事に交尾を確認できました

結構繋がっている時間が長かったり複数回しているのを確認できたのでペアリングするなら同居させた方が良さそうかなと思いましたね


4月25日に産卵セットを作成


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メガフードコンテナにMDプロEXプレミアムを下固詰めの至って普通のセット

気持ち水分を多めにしたくらいで他は特に気をつけたこともありません

開封済みのEXプレミアムが足りなかったのでケースの半分くらいまでしかマットが入っていない状態です

産まない可能性もあると思ったのでお試し的な感覚でした

投入翌々日からマットが盛り上がって掘り返されてる感じがあったので期待していると……




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4月30日には側面から卵を確認

産卵していることが確認できて一安心です

5月に入ってからはマット上を徘徊していたので早く割り出さなければと思っていたのですがなかなかできず

5月17日にようやく割り出しを敢行


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9個の採卵に成功しました

3週間ほどセットしていた割には少ないかもしれませんが小ケース程度の面積で更にマットが少ない状態での結果なのでこんなものでしょう

卵の色が悪いのが気になりますがルカヌスのブリード自体が9年前の国産ミヤマ依頼なのでこれが平常なのかの判断ができません(汗)

このセットで特に問題無さそうなのでそのままマット量を増やして沢山産んでもらおうと思います

1年1化、2年1化、休眠ズレの可能性があるため、ミヤマはある程度の数は確保しておきたいので……



ここまでハンガリー産のお話をしてきましたが、ウクライナ産はというと2月上旬にオスが先に後食を開始

メスが2月中旬〜下旬にかけて後食を開始

少し早いかなと思いつつハンドペアリングを試みるもメスが受け入れず玉砕

もう少し様子を見ようとしたところ、2,3日後にオスが星になって累代不可になりました……

もともと奇形だったオスなので心配ではありましたがやはりダメだったようです

私の管理がダメだった可能性ももちろんありますが前述のハンガリー産が産卵まで上手くいっていることを考えるとそんなことも無さそうですが果たして

ウクライナ産の方が神経質な可能性は否定できないので、無いとは思いますが次の機会があれば水分や温度をもう少し気をつけたいですね



というわけでケルブスミヤマのブリード開始記事でした

無事に孵化するかがわからないのと孵化してもそこからが長いのがミヤマですからね

ぶっちゃけ幼虫期間や休眠期間が長い種類は忘れていても問題無いのでそういう意味ではありがたいです(笑)

まずは孵化、そして無事羽化まで持っていく、あわよくばそこそこのサイズで!という感じで気長にやっていきます

それでは今回はこの辺で〜



こんにちはトキです

今回は去年も書いた小型色虫の産卵セットをまとめて作る2022年版です

もう1回あったらどうしましょ(笑)



1種類目は紹介を兼ねています


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学名:Lamprima insularis
和名:インスラリスキンイロクワガタ
産地:オーストラリア ロードハウ島
サイズ:♂フリー ♀フリー
累代:CBF1
羽化:♂♀共に12月


言わずと知れたインスラリスキンイロクワガタです

4月のKUWATAフェスティバル横浜でむし社さんブースにて購入

購入時に既に後食をしていたようなので即ブリでした

インスラリス安くなりましたねぇ

1回離れる前はそこそこの値段していた記憶があります

あとは小型ランプリマ特有の長い休眠期間がネックという話でした

とは言っても最近はラトレイユやインスラリスは普通に3ヶ月くらいで起きてくるような話を見かけるのでなんだったんでしょうね

以前にミカルドを飼育していた時もだいたいそのくらいだった(もうちょい長かったかも?)記憶があります

パプキンよりは長いのと、タスマニア産のキンイロが特別に長いのでそれが独り歩きした感じでしょうか


購入した翌日には同居を開始

交尾っぽい行動は確認できたのでそのまま2週間ほど放置

産卵セットを組む余裕ができたので4月27日に組みました


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コバシャ小に産卵1番を固詰めしただけのなんの工夫もないセットです

インスラリスは初なのでとりあえずこれで様子を見ます

念の為いてもいなくても構わないであろうオスも一緒に突っ込んでおきました

現時点で掛かっていなかったら無駄骨になってしまうので……



2種類目は去年と同様にムナコブクワガタです


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セット内容はインスラリスと全く一緒でオス4頭、メス2頭を纏めて投入しました

オス2頭とメス2頭は2月羽化で結構時間が経ってしまっているので産むか心配ですが産んでくれたらいいなくらいの気持ちで

色彩変化があるわけでも形に変化があるわけでもないので半分くらい惰性です(笑)

続いてくれてもいいし途絶えるならそれはそれでいいかなと思ってます

可愛くて見てて飽きないのでどちらかと言えば続いてほしいかな?

国内の血はかなり濃くなってきていると思うのでどのみち近いうちに絶えそうな気はしますが……



そんなこんなで小型色虫の産卵セットでした

最近はオオクワキングさんで用品を買う機会が無いので去年とは違い、産卵1番を使ったのが吉と出るか凶と出るか

あとは最近温度を20℃前後にしているのでその温度で産むかも問題ですね

ちなみにラトレイユはやっぱり産んでいなかったので途絶えました

なので新しいランプリマ枠としてインスラリスには頑張ってもらいたいです


それでは今回はこの辺で!


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