トキのカブクワ飼育記録

タグ:シネンシス

こんにちはトキです

今回はシネンシス原名亜種のお話



もはや1年近く前のことなのでだいぶ忘れていましたがファベールノコギリを購入して以降、WILDの取り扱いが多いPLANET OF BEETLEさんの動向に興味があって良くHPを見てました

確か購入特典で15%割引クーポンを貰ったのも一因だったと思います

2021年6月上旬、PLANET OF BEETLEさんから中国便入荷の通知が来ました

結構な種類が入荷されましたが聞き慣れない名前が……

調べてみるとなかなか面白いことが書かれていたので思い切ってセメノウと共に購入しました

それがシネンシス原名亜種です


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学名:Dorcus sinensis sinensis
和名:チュウゴクコクワガタ(シネンシス原名)
産地:中国 雲南省 維西リス族自治県
サイズ:♂41mm ♀30mm
累代:WILD(灯火採集)


画像は9月10日に撮影したものですが、メスは画像がありませんでした(ナンテコッタ…)

特徴がわかるなかなか良い画像ではないかと

二葉内歯の幅は狭く、胸部肩口の切れ込みは狭くも広くもない、そして全体的に赤く色付いている

ザ・シネンシス原名という感じのフォルムです

メスも赤かったのでシネンシス原名で間違いないでしょう

ということで早速産卵セットを組みました

が、まさかの産卵セットの画像がありませんでした(汗)

カワラ材だったかニクウスバ材で組んだのは覚えています

まぁこの1セット目は記録を残してもあまり意味のないものだったのでいいのですが……

何があったのかというと全部無精卵でした

良い感じに削っていたので幼虫で割り出そうとそれなりの期間を置き、満を持して割り出したものの黒くなったりした卵の痕跡しかありませんでした

メスの持ち腹に期待して追い掛けせずにセットしましたが未交尾だったようです

この時はあまり気にしていませんでしたが、カワノイシカの記事を見ていただいた方はなんとなく原因が想像できると思います


一旦その話は後にして、雌雄を同居させたところすんなり交尾をしてメイトガードも確認できました

今度こそということで習くわさんのニクウスバ材で再セットを作成

こちらも産卵セットを作成した時の画像は残っていませんでした


セットから2〜3ヶ月ほど放置していましたがメスを抜いていませんでした

ふと産卵セットを覗いたところ、メスが新たに材を削っているのを発見

嫌な予感がしたのでメスを探すと隣に星になったばかりの幼虫がいました

子食いというやつですね……

いい加減割り出さないといけない時期だったこともあったので1月29日に割り出しを実施


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材はこんな感じで削り痕や食痕でだいぶ中身がなくなってきていました

本来ならもっと早く割り出した方が良いかもしれませんが弱齢幼虫を探すのも楽ではないのでできるだけ長く放置したい派です


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材を割っていくと初齢幼虫が出てきました

正確な数を覚えていませんが、材からはこの1頭しか得られなかったと思います

材にいなかったのでマットの方に移動したのだと思ってマットをひっくり返すと


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見えている6頭の幼虫が得られました

このセットで合計7頭の回収に成功です

ちなみにメスはオスと同居させて再セットしようと考えていましたが、数日後に落ちてしまいました

なので7頭という少数精鋭で累代に挑むことに……

ホビー倶楽部さんのブナオオヒラタケ既成800ccに投入しました

1頭は馴染めなかったようで早々に星になってしまったため残り6頭

判別間違いが無ければ比率は♂4♀2となっているのでなんとかメスには無事羽化までは行ってもらいたいです

ちなみに親メスは割り出し後にオスと再度同居させていましたがすぐに星になってしまったため追加はできません



と、ここまではそこそこ前まで書いていた部分ですがここから先は5月下旬に書いた内容です


菌糸投入から3ヶ月以上経ち、それなりに食い上げていたり暴れ始めている個体もいたので5/21に菌糸交換を行いました


♂6g

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♂?4g

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♀4g

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今回交換したのは上の3頭

6gのオスはそれなりに見れるサイズになるのではと期待しています

シネンシスの還元率がわからないのでなんともですが親は超えてほしいところ

2,3頭目は雌雄がどちらか間違っているかも……

オス判定が間違っているならいいですがメス判定が間違っていたらいよいよ崖っぷちですね

もう1頭のメスは蛹室かも?みたいな空間にいたので交換を見送ったのですがどうやら違ったようなので近々交換予定です

他2頭のオスのうち1頭は最初に食痕が見えていたものの、それ以来動きがなかったので不安視していましたがやはり落ちていました

見た感じでは脱皮に失敗したか、脱皮している間に周りの菌糸が再生して食えなくなったのかなぁという雰囲気でした

もう1頭は唯一習くわさんのエノキオオヒラタケに入れた個体なのですが4月30日にアロー原名と一緒に交換したところ、明らかに成長不良で2gしか無かったので他の幼虫たちと同じ菌糸に入れました

蛹室のような空間を作って動かなくなったのでもしかすると蛹化するかもしれません

蛹室にしては小さい気もするのでそのまま落ちてしまう可能性が……

無事に羽化まで行ってくれることを祈ります



ここまでシネンシス原名亜種の紹介〜幼虫飼育でした

確実に生存しているのが♂2♀2で更に心許ない状態に

もともと採れていた幼虫が少なかったため、今年もシネンシス原名の入荷があったら購入しようかなとなんとなく考えていました

4月27日にPLANET OF BEETLEさんからシネンシス原名の入荷通知が!

早速注文しましたが入荷個体の画像を見てちょっと思うところがありました

違和感というか見た瞬間に、ん?と

それを確認するための購入でもあったわけです

今回購入個体の画像の前に最初に載せたオスの正面からの画像をご覧ください


DSC_1049


2月上旬に撮影したものです

ピントが合っていませんが1枚目より特徴がわかりやすいと思います



そしてこちらが今回購入した個体


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・・・・・・・うん、まぁ

気を取り直してメスも見てみましょう


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・・・・・・・・・・・・ん?

光量が足りないのでわかりづらいですが真っ黒ですね

ついでに言うとオスも上翅がほんのり赤いだけで前胸より上は真っ黒です

シネンシス原名なのに真っ黒……妙だな?(名探偵感)

まぁこれが購入した理由の1つです

ちなみに詳細は下記の通り


学名::Dorcus sinensis sinensis
和名:チュウゴクコクワガタ(シネンシス原名)
産地:中国 雲南省 維西リス族自治県
サイズ:♂42mm ♀31mm
累代:4月材割採集


1枚目をA、2枚目をBとしてオスの比較ですが、まぁ最大の違いは赤さですね

とはいえ個体差もあるのでここは参考程度でいいです

個人的に違和感を覚えるのは二葉内歯の幅及び太さと前胸の形

1mm違いでBの方が大きいですが二葉内歯の開き方が結構違います

Aはそれなりに開きがあるのに対してBはあまり開いていません

また、内歯根本の太さも違いますね

Bは怒江亜種やセメノウに近い内歯の形だと思います(怒江亜種はもうちょっと開くかも?)

前胸についてはAが台形のような形をしているのに対してBは下側が丸くなっています

パッと見でも結構違和感がある部分ですね

肩口の抉れについては幅や抉れの深さにそこまで大きな違いがあるようには見えませんが有識者が見ると違和感を覚える部分があるかもしれません


ここまでオスを比較してきましたが結構違いがあるのがわかるかと思います

ではなぜこんなに違いがあるのか

ここからは私の個人的な考察です

まず産地の維西リス族自治県ですが、デチェン・チベット族自治州にあります

これは雲南省の最北端に位置しています

そのデチェン・チベット族自治州の南東部にあるのが維西リス族自治県です

この維西リス族自治県は怒江リス族自治州と接する地域でもあります

1番接している範囲が広いのは福貢県ですが貢山トールン族ヌー族自治県とも接しています

産地でよく記載されている貢山産というのはここになりますね

ということはですよ、シネンシスssp.(怒江亜種)が生息している貢山と隣り合わせなんです

実際はその中のどこで採集されているのかはわかりませんが、自然下で混ざっても不思議では無いのでは?と勝手に思っています

それか怒江亜種でも原名亜種でも無い別の何かの可能性もあるかと

2019年にPLANET OF BEETLEさんに入荷した怒江亜種で上翅が赤い個体がいたようですがそれがこのBに近いタイプかもしれません

怒江亜種も真っ黒が基本なハズなので


怒江の話をしましたが反対側には麗江市が存在しています

ご存知の方も多いと思いますが麗江市にはコンコロール亜種が生息しています

麗江市以降の産地が記載されていないのでどこで採集されているのかは不明ですが玉竜ナシ族自治県という所が維西リス族自治県と接している所です

また、他にもコンコロールの生息地の1つとされている香格里拉市(シャングリラ)も狭い範囲ではありますが隣接しています

そもそもBE-KUWAでもコンコロールは維西リス族自治県亜種と紹介されています

維西リス族自治県にコンコロールが生息しているのであれば果たしてどこで棲み分けられているのでしょう?

隣り合わせの県または同じ県だった場合は混生、自然下で交雑も有り得るのではないでしょうか

さすがに今回のB個体は内歯の形状、前胸肩口の幅や抉れ方がコンコロールに似ても似つかないのでそちらとの混ざり物の可能性は無いと思いますが……


ここまでつらつらと個人の見解を書きました

全く的外れなことを書いている可能性もあるので参考程度に見ていただきたいのですが一考の余地くらいはあるのかなと

オスの比較をしましたが、メスに関してはAの画像が無いので比較はできませんしそもそも色以外で(私が)判別できると思っていません

ただ、SNS等を見ても購入した方は総じてメスが真っ黒という話をしていたので個体差の可能性は低いと思います

モーレンカンプコクワのように同じメスから黒や褐色が産まれるなら同所から採集した個体も赤混じりがいると思うので

こればかりは次世代を羽化させてみないとわかりませんが、次世代でもオスの赤みが弱くメスが真っ黒の個体しか出てこないのであればシネンシス原名の地域変異あるいは別種の可能性を疑いたいです



以上、かなり長くなってしまいましたがシネンシス原名亜種のお話でした

生息地のところでは図示して説明できればよかったのですが引用の仕方がイマイチわからなかったのですいません

シネンシス系は分類や特徴が難しすぎるので産地はもちろん、実物でも図鑑でも良いので沢山の個体を見て特徴を把握するのが1番だと思います

良くわからないからヤフオクの怪しい個人輸入品を真に受けて購入して次世代を販売する、なんてことは無いようにしましょう(四川省涼山産のシネンシスssp名義とか)

ショップでシネンシス系の取り扱いが1番多いPLANET OF BEETLEさんからの購入ですら上記のようななんとも言えない個体が届くので

別にPOBさんを貶しているわけではありませんよ?

それだけシネンシス系は不透明な部分が多いということです

またつらつら書いていくと長くなりそうなので終わりにします(笑)

だいぶ長くなってしまったので誤字脱字はご容赦を

それでは今回はこの辺で!



こんにちはトキです

シネンシス(チュウゴクコクワ)についてのお話です

年始の記事で飼育種にシネンシス原名とセメノウを書きましたが今回はそちらには触れませんので悪しからず

本来はシネンシス原名と一緒の記事にする予定でしたが長くなりすぎてどちらが本文かわからなくなったのでこれはこれで単独の記事にします




色々と物議を醸すシネンシスシリーズですが年始にかなり動きがありました

大理市のシネンシスがsspとして結構な数入ってきましたね

これまで大理市のシネンシスは亜種コンコロールとされていて確か記載もあったような気がします

実際に同じ時期に入荷してコンコロールとして販売しているところもあるようです

ただし、内歯が広がるのが特徴のコンコロールに比べて大理市のシネンシスは内歯があまり広がらないようです

前胸背板の切れ込みの幅はそこそこ広いのでその点ではコンコロールに近く、サイズがしっかり大きくなれば内歯も広がるらしいのでその点ではコンコロールかもしれません

大理市のシネンシスでコンコロールのtype標本の様に内歯が広がっている個体は画像ですら無いのでその情報自体が正しいのかは定かではありませんが……

さて、問題は大理市のシネンシスでは無くヤフオクで販売されていた四川省涼山のシネンシスです

あちらもシネンシスsspとして入荷しています

去年の11月と今年の1月に同じ産地のシネンシスがコンコロールとしてPLANET OF BEETLEさんで販売されました

その時のシネンシスは間違いなくコンコロールと言えるほどtype標本の様に内歯が広がっていて特徴が出ていました

しかしヤフオクに出品されているのはサイズは大して変わらないのに内歯幅が狭い

色々と疑問に思ったので質問しましたが的を射ない回答でした

ぶっちゃけて言うなら大理市のシネンシスをキャッチャーに騙されたか販売している本人が偽装して販売していると思ってます


ヤフオクの質問にも書きましたが入ってきているタイミング、生体の特徴が大理市のシネンシスsspとほぼ同じです

なんなら販売する時の文言も「新亜種になると思われます」ってところまで一緒です

そんな偶然そうそう無いでしょう

そりゃもちろん0とは言いませんが全く同じ時期に同じ名前の種類が別産地から入ってくるのはさすがに……

逆に興味が湧いたので私も入札はしてみました

うちのシネンシス原名が健在なうちに見比べたいのと次世代で何が出てくるのか気になったためです

さすがにあの値段を出す気にはなれなかったので超された時点でやめましたが

恐らく大理市のシネンシスと同じ形のものが羽化してくると思います

最初から疑って購入し、次世代を流出させないのであれば問題ありません

「別産地の新亜種になるシネンシスが手に入った!」という純粋な気持ちで購入した方はこのブログが目に止まったら次世代を繁殖させるまでに留めて販売しないことを強くオススメします

シネンシスの産地毎の分類自体がそもそもわからねぇ!と言う方はPLANET OF BEETLEさんの1/21更新のブログを見てみると少なくともここ最近のシネンシスについては知ることができます

アレはアレで大理市にコンコロールはいないと書かれているので疑問が残りますが分類が再編されたのか、そもそも通称としてコンコロールが使われていただけで本当に大理市のはシネンシスssp(俗に言う怒江亜種)なのかもしれません

実際問題ずっとシネンシスと言われてきたのに2013年に四川のはセメノウに分類されたわけですし、その四川にもセメノウの特徴が無いシネンシスが発見されているわけで……

もはや大理市のシネンシスはコンコロールと声を上げれる状況では無いかと

麗江市のものが一般的に認知されてるコンコロールの形だと思いますが、麗江市に比べて大理市のシネンシスは前胸背板の切れ込みや内歯の幅が比較的狭いんですよね

あそこまでの範囲を一緒くたにコンコロールと言うのであれば黒くて前胸背板に切れ込みがあれば全てコンコロールで通じるのでは?と思わなくも無いです

切れ込み以外の前胸背板の形で判断しているのであれば話は別ですが

涼山産のシネンシスはコンコロールじゃなくね?って言ってる方をちらほら見ますがそういう方々で、大理市のもコンコロールじゃなくね?って言ってる人いないんですよね、不思議です

形で判断してるなら大理市のこそコンコロールかを疑うものだと思うのですが……

話が逸れてしまいましたが少なくともシネンシスのようなややこしい種類はヤフオクで、しかも身元不明の人から買うのは避けるのが賢明です(匿名配送はアカンすよ!)


シネンシスとは別(でもない)ですがj-01とかj-02という名前のマットを販売しているショップさんがヤフオクに出してる涼山セメノウsspはさすがに良くないと思います

どこにセメノウの特徴が出てるのか説明していただきたいくらい

内歯幅が広くて前胸背板の切れ込みは原名かそれ以上

涼山産がsspかコンコロールかというレベルの話をしている時にセメノウsspをぶっ込んでくるのはある意味凄い

アレをセメノウって言うショップからはさすがに何も買えないです……

まぁ分類が再編されて前胸背板の切れ込みと内歯幅が広かろうが四川省のはセメノウ!ってなる可能性もありますがそうなったらもう外見で判別するのは不可能に近いですね



長々と書いてしまいましたが私個人の意見なので本当に参考程度に見てください
(こいつなんか言ってるな程度で)

シネンシスは見解がありすぎてどうにもならないので

①過去に入荷実績があるショップからWILDで購入する
②血の入れ替えはしない
③無闇矢鱈に販売しない

この辺を意識するのが良いかと思います

①については名のあるショップでも上翅が赤い個体をセメノウとして売っていたりするのでそこは気をつける必要があります



文字ばかりの記事で申し訳ないですが今回はこの辺で


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